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中古トラック・トラックファンド 現役

中古トラックファンドの仕組み・期間・キャッシュフロー・PLへの効果。1口1,000万円が5年でどう動くか

4年落ち以上の中古トラックを匿名組合で束ね、運送会社に貸して分配を受ける。中古資産の耐用年数2年と定率法で初年度に6割超の損金を作る商材を、年次のキャッシュフローとPLで見る。器が匿名組合である以上、金商法の登録が要る。

査定サマリー
総合判定B-
税務
低
中古耐用年数の簡便法は恒久。組合損益の取込みも確立
商品
可
分配110%は薄いが実物の市場がある
業者
要確認
匿名組合なのに第二種登録の表示が無い業者
出口
可
5年で清算、中古トラック市場は厚い
結論。器が匿名組合である以上、営業者の第二種金融商品取引業の登録番号を確認できる案件だけが対象。税務の論点は少なく、リスクは営業者の信用に集中する。

中古トラックは、節税商材の中では珍しく制度の側に脆さがない。4年落ち以上の中古トラックを2年で償却する仕組みは、中古資産の耐用年数の簡便法として恒久的に存在し、封じられる気配もない。問題は制度ではなく器にある。トラックを匿名組合に束ねてファンドにした瞬間、それは金融商品になり、営業者の信用と登録の問題が前に出る。

仕組み

営業者が匿名組合を作り、投資家から1口1,000万円の出資を集める。組合は4年落ち以上の中古トラックを買い、運送会社に貸す。リース料から営業者の報酬を引いた分が投資家に分配され、5年後にトラックを売却して清算する。

税務は中古資産の耐用年数の簡便法による。法定耐用年数(大型トラックは5年)を全部経過した中古資産は、法定耐用年数の20%(最短2年)で償却できる。耐用年数2年の定率法の償却率は1.000なので、期首に取得すれば初年度にほぼ全額を償却する。期中取得なら月割で、業者は「半年で約40%、1年で約65%」と表記する。この償却が組合の損失として投資家に配られる。

現物型もある。法人がトラックを直接買って運送会社に貸す型で、こちらは金融商品ではない。ただし貸付用の資産なので、少額減価償却の特例や経営強化税制は使えない。中古の短期償却だけが残る。

期間

5年が標準。分配は年2%前後で5年均等、清算時に売却代金が戻る。5年間で出資額の約110%が戻る表記が多い。中途解約はできない。トラックの中古市場は厚く、5年後の売却先には困らないが、価格は市況次第である。

キャッシュフロー

1口1,000万円、年220万円の分配を5年、合計1,100万円(110%)の例。組合損益は1年目に減価償却で▲420万円、2年目▲120万円、3年目以降は黒字。実効税率33%。単位は万円。

年 投資・売却 分配・収入 損金(−)/益金(+) 税効果 税引後CF 累計
0年目 ▲1,000 0 0 0 ▲1,000 ▲1,000
1年目 0 +220 ▲420 +139 +359 ▲641
2年目 0 +220 ▲120 +39.6 +260 ▲382
3年目 0 +220 +210 ▲69.3 +151 ▲231
4年目 0 +220 +215 ▲71.0 +149 ▲82.0
5年目(清算) 0 +220 +215 ▲71.0 +149 +67.0
合計 ▲1,000 +1,100 +100 ▲33.0 +67.0

「約110%」「半年で約40%、1年で約65%」は販売業者の表記。組合損益の年次配分は、期中取得の償却とリース料収入から仮に置いた。

税引前100万円の上乗せが、税引後で67万円。年率1.3%程度である。初年度の税効果は139万円で、オペリースのような大きさはない。この商材の初年度損金は出資額の4割程度で、しかも分配220万円が同じ年に現金で戻る。損金の大きさより、現金が毎年戻る構造が特徴になる。

PLへの効果

匿名組合損益として、1年目に▲420万円、2年目に▲120万円の営業外損失、3年目以降に約210万円の営業外収益が立つ。5年間の損益合計は+100万円で、税効果の合計は▲33万円。ここでも即時の損金は繰延べで、5年で全部戻る。

分配220万円は組合からの出資の払戻しと利益の分配が混ざっているので、PLの損益とキャッシュの分配は一致しない。1年目は損失420万円を計上しながら現金220万円を受け取る。この「損失を計上しながら現金が戻る」年が2年続くのが、この商材の使い勝手の良さであり、同時に「利益が出ているのに損金を取っている」と見える構造でもある。

査定

税務の論点は少ない。中古資産の簡便法は制度として確立し、組合損益の取込みも同じ。封じられた商材の「貸付除外」「管理委託除外」は経営強化税制と少額減価償却の話で、中古の短期償却には及んでいない。ただし、この構造がドローンや足場の少額資産スキームと同じ「貸して損金だけ取る」型であることは、当局も認識している。次に封じられる候補として名前が挙がる理由はここにある。

最大の論点は器にある。匿名組合の出資持分はみなし有価証券で、その募集や私募の取扱いは第二種金融商品取引業の登録が要る。ところが中古トラックファンドを売る業者のサイトに、登録番号の表示が無い例がある。営業者が誰で、その営業者が登録業者なのか、販売しているサイトの会社は何の立場なのか。契約前に登録番号を確認できない案件は、価格以前に見送る。

組成側の視点

トラックファンドは、組成する側から見ると「税務が固くて、器が緩い」商材だ。税務で否認される心配が少ない分、売り手は器の整備を後回しにしがちで、登録の無い会社が匿名組合を組成して売っている例が出る。出資者は営業者が破綻したとき一般債権者になる。トラックは運送会社の車庫にあり、出資者の手元には出資証券しかない。

買ってよい法人、買ってはいけない法人

営業者の第二種登録を確認でき、リース先の運送会社と車両の登録番号が開示される案件なら、利回り2%の繰延べ商材として成立する。登録番号を確認できない業者から買う法人は、税務ではなく金融商品としての最低限の保護を捨てている。

出典
  1. 国税庁 タックスアンサー No.5404 中古資産の耐用年数
  2. 金融庁 金融商品取引業者向けの総合的な監督指針(募集の取扱い)
  3. 節税DD 税制改正の歴史「ドローン・足場・LED」
関連する語: 中古トラック 節税 仕組み/トラックファンド 匿名組合/中古トラック 4年落ち 2年償却/トラックファンド キャッシュフロー/中古トラック 定率法 初年度/中古トラック 節税 リスク
本記事は制度と商品の仕組みを一般的に解説するもので、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。即時償却は課税の繰延べであり、税額が必ず減るものではありません。個別の税務判断は税理士にご相談ください。