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コインランドリー 縮小

コインランドリー投資の仕組み・期間・キャッシュフロー・PLへの効果。4,000万円の設備を自ら運営して10年

令和5年度改正で管理委託型は経営強化税制から外れた。残ったのは自ら運営する型で、4,000万円の設備を即時償却し、年10%の純収益で10年かけて回収する。キャッシュフローとPLで見ると、税効果の合計はゼロになる。

査定サマリー
総合判定C
税務
条件付
自ら運営する場合のみ経営強化税制の対象
商品
要検証
立地と競合で純収益が大きく振れる
業者
可
メーカー・FC本部は事業実態がある
出口
可
設備は残るが中古価値は低い
結論。節税より先に事業として成立するかを見る。年10%の純収益が10年続いてやっと元本が戻り、税効果の合計はゼロ。立地を自分で選び、集金と清掃に自社の人が関わる法人だけが、即時償却を取れる。

コインランドリーは、節税商材から設備投資へ戻された商材である。令和5年度改正で、運営を丸投げする型は中小企業経営強化税制から外れた。今も即時償却が使えるのは、自分で運営する場合だけ。だからこの記事は「節税の道具」としてではなく、「即時償却がついてくる事業」として、仕組み、期間、キャッシュフロー、PLを見る。

仕組み

法人が土地や店舗を借り、洗濯機・乾燥機・両替機・監視カメラなどの設備一式を3,000〜4,000万円で買う。フランチャイズ本部が設計、機器の調達、開業支援を行い、開業後は集金、清掃、利用者対応、機器のメンテナンスを分担する。改正前は本部に全部委託する型が主流だったが、改正後は「集金と清掃は自社で、機器保守は本部で」のような分担型に変わった。

税務は経営強化税制のB類型(投資利益率5%→7%以上、経済産業局の確認書)またはA類型(工業会証明書)で即時償却。ただし令和5年度改正で「コインランドリー業(主要な事業を除く)の用に供する資産で、管理のおおむね全部を他の者に委託するもの」が除外された。中小企業庁の解釈では、集金・清掃・利用者説明などの管理業務を一部でも自社で行えば「おおむね全部を委託」に当たらないとされる。

期間

洗濯乾燥機の寿命は10〜13年で、設備の耐用年数は機械装置として13年、または器具備品として扱う。業者の表記では投資回収に7〜12年。契約期間という概念は無く、店舗が続く限り続く。中途で撤退するなら、設備の中古価値は低く、原状回復費用が出る。

キャッシュフロー

設備4,000万円、純収益(売上から水道光熱費・賃料・消耗品・保守を引いた額)年400万円(10%)が10年続く例。即時償却が認められる前提、実効税率33%。単位は万円。

年 投資・売却 分配・収入 損金(−)/益金(+) 税効果 税引後CF 累計
0年目 ▲4,000 0 0 0 ▲4,000 ▲4,000
1年目 0 +400 ▲3,600 +1,188 +1,588 ▲2,412
2年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲2,144
3年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲1,876
4年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲1,608
5年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲1,340
6年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲1,072
7年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲804
8年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲536
9年目 0 +400 +400 ▲132 +268 ▲268
10年目 0 +400 +400 ▲132 +268 0
合計 ▲4,000 +4,000 0 0 0

「利回り8〜15%、回収7〜12年」は販売業者の表記。年400万円は中央付近の仮の数字で、立地と競合で大きく振れる。10年目の設備の残存価値はゼロと置いた。

この表は、即時償却が何であるかを最もよく示す。10年間の税引前キャッシュフローはゼロ、PLの損益合計もゼロ、税効果の合計もゼロ。初年度に1,188万円の税が減り、2年目から10年目に毎年132万円ずつ、合計1,188万円を払い戻す。即時償却は税を減らしていない。10年分の税を初年度に前借りしただけである。

PLへの効果

初年度のPLには減価償却費3,600万円(4,000万円の即時償却から純収益分を差し引いた見え方ではなく、償却4,000万円と売上・経費が別々に立つ)が乗る。本業の利益が3,600万円以下なら、この年は赤字決算になる。2年目以降は償却が無いので、純収益400万円がそのまま営業利益に乗る。

繰延べの価値は、初年度の1,188万円を9年間かけて返す間に、その資金で何を稼げるかにある。年5%で回せれば9年で400万円前後。回せなければゼロ。一方で、赤字決算の年に金融機関の格付けが下がり、翌年以降の借入金利が上がれば、繰延べの価値は消える。

即時償却ではなく税額控除を選ぶ道もある。B類型で取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)なら400万円の税額控除で、これは繰延べではなく減税である。毎年法人税を払う法人は、こちらが有利なことが多い。

査定

税務の論点は「自ら運営しているか」の実態にある。分担表を作っただけで、実際には本部の担当者が集金も清掃もしている店舗は、税務調査で「管理のおおむね全部を委託」と見られる。自社の従業員が月に何回店舗に行き、何をしたかの記録が要る。

商品の論点は立地である。コインランドリーは同じ商圏に2店目ができると売上が落ちる。年10%の純収益は、競合が来ない前提の数字である。メーカーとFC本部のサイトしか検索に出てこない領域なので、閉店した店舗の数と理由を本部に聞く。

組成側の視点

コインランドリーは、節税商材として売られていた時代に「設備の値段」が膨らんだ。丸投げ型では、本部の開業支援や運営の対価が設備価格に乗り、即時償却の取得価額を大きくしていた。改正で丸投げ型が外れた今、設備価格が下がっていなければ、その差額は何の対価なのかを見積書で問うべきだ。

買ってよい法人、買ってはいけない法人

自社の店舗や倉庫の隣に置き、従業員が集金と清掃に関われる法人には、即時償却か税額控除のつく設備投資として成立する。ただし年10%の純収益が10年続く前提で元本回収なので、事業として採算が取れるかが先である。決算対策のためだけに買い、店舗に行かない法人は、2023年に封じられた型そのものである。

出典
  1. 国税庁 令和5年度 法人税関係法令の改正の概要
  2. エレクトロラックス・プロフェッショナル 改正後の経営強化税制の適用について
  3. 節税DD 税制改正の歴史「コインランドリーの即時償却はなぜ縮小したか」
関連する語: コインランドリー投資 仕組み/コインランドリー 即時償却 キャッシュフロー/コインランドリー 節税 自営/コインランドリー 利回り 回収期間/コインランドリー 経営強化税制 管理委託/コインランドリー投資 失敗
本記事は制度と商品の仕組みを一般的に解説するもので、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。即時償却は課税の繰延べであり、税額が必ず減るものではありません。個別の税務判断は税理士にご相談ください。